シャープとカシオの電卓の市場調査(53号)
電卓の新たな付加価値の商品開発の事例
2006年8月3日の日経新聞の記事からの抜粋です。
記事抜粋:
「家電量販店などで売れ行きを急速に伸ばしているのが、いわゆる「脳トレ」機能を搭載した電卓。
シャープが昨年9月に発売し、カシオ計算機が今年3月に参入した。
ヨドバシカメラの売り場では、展示コーナーで脳トレを試す中高年の姿も目立つ。
「高齢者から若者まで家庭用に幅広く売れる。既に電卓を持っていても二台目として買い足す人が増えている」(ヨドバシカメラ)
またテンキーとして使える電卓も、価格は四千円前後と高めだがよく売れている。
「職場にはテンキーを標準装備していないノートパソコンが多い。狭いデスクを有効活用できる点が評価されている。」(カシオ計算機)
購入者は20代~40代のビジネスマンが中心。現在では、国内で出荷されている電卓のうち約2割がテンキー機能付きとみられるまでになった。
キー配置や計算など基本機能はそのままに、デザイン性を高めた電卓も多い。
カシオ計算機の「NEO STYLE」シリーズは、キーの形状に丸みをつけ外装の色も赤や青など四色を用意した。
「おしゃれな飲食店などで使われているほか、若い女性が仕事用に購入している」という。
キャノンマーケティングジャパンの調べによると、電卓の2005年の国内出荷台数は千十四万五千台でここ数年はほぼ横ばいが続いている。学校の授業で電卓が採用されたことも需要を下支えしている。
—記事抜粋はここまで—
電卓にも「脳トレもの」があったとは!(笑)
記事にありますように、電卓の付加価値として「脳トレ」「パソコンのテンキーになる」「デザイン向上」が挙げられています。
100円ショップでも売られている電卓ですが、消費者の欲求をうまく捉えた商品開発で高価格を維持しています。
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■ここからは、この事例について「市場調査をしたとしたら・・・」という
過去にさかのぼった私の妄想の世界です。
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今日はちょっと「妄想」ではない内容です。m(__)m
記事では電卓の付加価値として
・「脳トレ」
・「パソコンのテンキーになる」
・「デザイン向上」
の3つが挙げていますが、最終的に商品に行き着くまでの道のりはそれぞれ違うと想像されます。
この3つの付加価値のうち、「顧客調査から生み出される可能性の高いもの」はどれだと思われますか?
・・・考え中・・・(^^)
そうです!
「パソコンのテンキーになる」です!
この付加価値は、「消費者のパソコンや電卓の利用に関する現状把握、不満点の把握」といった消費者調査から発見される確率が高いです。
もし消費者調査をする場合には
経理業務など「数字を扱うヘビーユーザー以外」がターゲットに想定され、
(ヘビーユーザーは「外付けテンキー」などを利用しているため)
・ヘビーユーザー以外の「外付けテンキー」の設置状況の把握
・「ノートパソコンの数字入力を面倒に感じる程度」
・「パソコンにも接続できて、テンキーになる電卓」のニーズ、購入想定価格などを調査から把握します。
「デザイン向上」については、5,6年くらい前からでしょうか(?)、
日本のメーカーはデザインに非常に力を入れていますね。
(日産も、ゴーンさんがデザイナーをヘッドハントするなど、注力されていました。)
デザインに凝った電卓は、そういった企業方針からの発想で開発されたのかもしれません。
最後に「脳トレ」電卓ですが、これは「消費者調査からではないタイプの、マーケット志向の商品」だといえます。
個人的にはこのタイプの商品開発が好き、と申しますかおもしろいです(^^)。
こういった商品を発想するには常に世の中の流れ(生活者の意識が何に注目しているか)に敏感でいて、
その「世の中の流れ」 ×「自社商品・自社の強み」= 新商品
を頭の中でいつもシミュレーションしておくことです。
今回の場合の「世の中の流れ」は、「人々の脳の健康・老化に対する不安」ですね。
脳を鍛えるには「単純な計算の繰り返しが効く」という研究機関の研究結果なども収集しつつ、自社の強みに結びつける発想にまで昇華させたシャープさんの目のつけどころが素晴らしいです!(^_^)
市場調査の実施にご興味がある方は、いちど当社にご相談ください。
《※2006年1月から【まぐまぐ!】で発行しているメールマガジン 【女性視点(?)なマーケティング発想のヒント】 からの転載です。》
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