課題が解決できるアンケート質問作成の3つのポイント
いざアンケートを作成しようとしても、例えば以下のような不明点があるのではないでしょうか。
- 最初のあいさつ文、導入文はどのようなものがよいのか?
- 何問くらいにしたらよいのか?
- どういう流れで質問を組み立てればよいのか?
- 一つひとつの質問文の言い回しはどのようにすればよいのか?
- 選択肢の中から選ぶタイプの質問作成で、注意することは?
- 5段階評価の選択肢は、どのような文言にすればよいのか?
- 回答率・回収率を高めるための、アンケート質問の書き方は?
- いいかげんに回答されない、真剣に書いてもらうためのコツは?
- 率直な意見、本音を収集するためのコツとは?
- 主観的、誘導質問的にならず、客観性を保つには?
- 有効な分析ができる分析軸の設定のしかたは?
上記のような不明点は、ネットを検索すればアンケート作成ノウハウとして探せる内容ですがそういったノウハウより、もう少し基礎的なところで重要なアンケート質問作成の3つのポイントを挙げてみました。
3つのポイントについてご説明します。
ポイント1.聞きたいことだけを聞く質問にしないこと
聞きたいことだけを聞く質問とは
アンケート質問作成に慣れていない人がやってしまいがちな失敗例は、「ご自身が聞きたいことだけを質問文にしていること」です。
「え? 自分が聞きたいことを聞くのがアンケートではないの?」と思われたかもしれません。
「聞きたいことだけを聞く」とは、例えば何かの新商品開発のためのアンケートの質問で「あなたはこの商品が好きですか」、「買いたいと思いますか」といった、直球の「核心を聞く質問だけ」をしがちということです。
課題を解決できるアンケート質問とは「聞きたいことだけを質問にすること」ではありません。
聞きたいことの質問自体はあってよいのですが、「その回答をするに至った、その人の背景や、人となりがわかる質問」を必ず作成する必要があるということです。「背景や人となりがわかる質問」というのは、回答者の属性・思考・嗜好・性格・生活習慣・行動といったものです。そういった質問が「どの程度買いたいと思うか」についての回答の信憑性の裏付けになるからです。集計分析時には質問のクロス集計をする項目になります。
その人の背景や、人となりがわかる質問とは
例えば高価格帯のゼリーの試作品試食アンケートでの、「このゼリーを買いたいと思いますか」という質問に対して「買いたい」と回答した人の割合が高かったとしても、単純に喜んで発売を決定してはいけません。
その理由は、「このゼリーのターゲットに合った人が回答しているかどうかを裏付ける質問をしていないから」です。例えば日頃安いゼリーしか買わない人や、ゼリーを食べる習慣がない人が「買いたい」と回答していても、現実的には売上に貢献する可能性は低いと考えられるためです。
このゼリーの試作品試食アンケートの場合は、どういった質問で背景や現実の行動を収集するかですが、たとえば
- 日頃ゼリーをどれくらいの頻度で買うか?(今回から急にゼリーに目覚めたという場合を除いて、日頃買わない人の意見は余り参考になりません。)
- 日頃どこのメーカー、商品を買うか?(どんな嗜好の人がどんな評価をするのかを判断するため)
- いくら位の商品を買っているか?(費用感覚は重要で、おいしくても日常買いには選択されない、であるとか、いいものを少し食べたいニーズやターゲットに訴求するなど、コンセプトを固める上で重要)
- 日頃どこでゼリーを買っているか?(流通が重要)
といった質問です。
背景や現実の行動情報が重要なのは、それによって回答の「確かさ」や「自社にとって」役に立つ回答かどうかを見極めることができるからです。
アンケート質問作成の初心者の方は、この裏付けを取る質問について気づいていないために「質問数は5問くらいでOK。」と考えてしまいがちですが、 「回答者の人となりや背景がわかるような、裏付けを取る質問」を加えることで質問内容の質が格段にグレードアップでき、分析にも活用できます。
その人の背景や、人となりがわかる質問の、質問数は
上記の「回答者の背景や、人となりやがわかるような裏付けを取る質問」は、調査目的によりますが最低でも3問~10問程度は必要であり、質問のうちの一部はスクリーニング調査(事前調査)で実施します。
スクリーニング調査とは、本調査の前に回答してもらうべき人を選別するためのアンケート調査であり、ざっくりと大枠での回答者の選別をします。
例えば先述の高価格帯のゼリーの場合は、「性別・年代・ゼリーやプリン、アイス等デザートの喫食習慣・頻度、購買行動・購入商品、デザートにかける支出金額」などの質問をして対象者を絞るのです。
スクリーニング調査を実施することで、「まったくターゲットとは関係のない人(例えば日頃デザート買う習慣のない人など)が回答者の中に紛れ込み、市場調査としては役に立たないデータを収集してしまう」といった失敗を防げますので非常に重要です。
また、スクリーニング調査の質問は、クロス集計分析の分析軸としても使用できます。例えば上記の例ですと「年代別・性別年代別・デザートの喫食習慣別」等々で、その違いを分析します。
セルフ型Webアンケートの落とし穴とは
昨今よく利用されているセルフ型Webアンケートは「1問1人10円~」など安く実施でき、アンケート調査のハードルを下げることにとても貢献していますが、この前面に表示されている安価な料金はスクリーニング調査をしない場合の料金だという点に注意が必要です。
「とりあえず誰でもよいから100人の回答がほしい」というケースなら問題ないですが、何かの課題解決のために想定しているターゲットがあり、対象者がなかなかいないような珍しい条件の場合は(「出現率が低い」と言います)、アンケート調査に必要な回答者数が集まらなかったり、スクリーニング調査費用が想定外に高額になることがるため注意が必要です。
ポイント2.仮説を立てること
アンケート調査の仮説とは
アンケート調査の成否は「仮説」で決まると言われるほど、重要なものです。
仮説には2種類あり、例えば現状把握のための仮説(現状は○○○○なのではないか?)や、課題解決策立案のための仮説(こうやればよいのではないか?)を、調査目的に応じて立て、アンケート調査ではそれを検証していきます。アンケート調査を実施することで、新たな発見や気付きが収集できるような仮説を立てることがポイントです。
現状把握のための仮説とは
例えば「高価格帯ゼリーの商品開発」において、現状把握のための仮説では「現在食べているゼリーについて、人工甘味料が気になっているのではないか?」とか、「入っているフルーツのマンネリ感を感じているのではないか?」といったことが仮説になります。
あるいは自社商品の顧客満足度調査の場合は「このゼリーのこういう点に不満を持たれているのではないか?」「このような人にとっては、こういう点に不満を持たれているのではないか?」といったことが仮説になります。
課題解決策立案のための仮説とは
現状把握のための仮説で検証した結果を受けて、次に課題解決策立案のための仮説を立て、それをアンケート調査で検証します。
課題解決策立案のための仮説は「○○○○というコンセプトが評価されるのではないか」「このようなシーンでのゼリーの食べ方提案があるのではないか」といったことが仮説になります。
あるいは自社商品の顧客満足度調査の場合は「このゼリーをこのように改善したら、顧客満足度が向上するのではないか?」「このようなコンセプトが求められているのではないか?」といったことが仮説になります。
ポイント3.御社の「本気や熱」を伝えること
「本気や熱」を伝えるとは
アンケート調査において、暗黙知ともいえる重要なことは「アンケート調査に対する、こちら(調査を実施する企業様)の「本気や熱」を伝えられるような質問にする」ことです。 「本気や熱」とは、新商品開発が調査目的なら、その仕事に対する本気度や、回答者に対する「あなたの回答がとても参考になります!ありがとうございます!」といった感謝やリスペクトといったことです。大げさかもしれませんが、回答者とのエンゲージメント(関係性)を築くという意識を持つということです。
アンケート回答者の「あるあるな問題行動」とは
例えば新商品開発や顧客満足向上などの、顧客の心理や行動を詳しく調査する必要があるアンケート調査では、質問が込み入ったものになります。また自由回答質問も組み入れるので、回答者(消費者やお客様など)の立場からすると、「回答しにくい」とか、「めんどくさい」と感じることにもなります。
このため質問文を真剣に読まずにいいかげんに回答したり、自由回答には本当に思っていることを記載せず、書くのが面倒なので「ひとことだけの回答」や「なし」といった記述で済ませたり、途中でやめる、離脱するといったことが起こりがちで、その結果回答内容の信憑性が低くなる、回収率が下がるといった問題が起こります。
「本気や熱」の伝え方は
そういったことをできるだけ食い止めるためには、こちら(調査を実施する企業様)の、その調査にかける本気度が伝わるアンケート質問にすること、つまりこちらの本気度を質問文や調査趣旨説明文・依頼文に、言葉として表現することが重要となります。質問文や調査趣旨説明文・依頼文で、回答者との関係性を築くという意味です。
通常、アンケートの冒頭に調査趣旨説明文や依頼文を掲載しますが、それひとつ取ってもありきたりな文章ではなく、調査を実施する企業様自身の言葉で調査趣旨説明をすること、その「つかみの段階」でまずはちょこっと信頼や共感を得られるようにする「お膳立ての文章」にも気を配るといったことが必要です。そして、ひとつひとつの質問文も本気が伝わる言葉にすることが重要です。(暑苦しいということではありません)
回答者を「ひとりひとりの人」として捉え、伝えようとすること
そういった主催者の本気度・調査に対する想いは回答者の深層心理に伝わり、何となく「回答してあげよう」「ちゃんとした内容を記入してあげよう」という反応につながります。当社の実施するアンケート調査では回答者によっては「興味深いアンケートだった」「楽しく回答できた」といった感想を書いて頂くこともあります。
企業様によっては本気で取り組んでいるにもかかわらず、それがうまく表現できていない、伝えられていないといったアンケート調査の事例をよく見ますが、その点は改善することにより回答内容の信憑性が高くなる、回収率が上がるといった効果を見込める可能性がありますので、やれることは何でもやってみることをお勧めいたします。
簡単なアンケート調査では、このような配慮についてはそれほど重視することもないのですが、新商品開発や顧客満足向上などの、顧客の心理や行動を詳しく調査する必要があるアンケート調査ほど非常に重要になります。
このような点が重要と明記している書物などは見ないのですが、実際にこれまで約30年アンケート調査を実施している中で、弊社が回答者の取り組み姿勢や回答の中身について良い効果があると実感している点です。
当社では
「聞きたいことだけの質問ではない」
「仮説構築・検証ができる」
「御社の本気・熱を伝えられる」
といった「課題が解決できるアンケート質問作成の3つのポイント」を踏まえたサービスを提供しておりますので、詳細は以下のページをご覧ください。
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