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ほんだしのインタビュー調査の事例(139号)

売り上げを急回復できたインタビュー調査の事例

2025年2月26日の日経MJの記事からの抜粋です。

1999年をピークに、下降気味だった「ほんだし」が4年ぶりに売り上げを反転させた事例です。
2025年2月26日の日経MJの記事からの抜粋です。

記事抜粋:

■味の素の和風だしのもと「ほんだし」が4年ぶりに売り上げを反転させ、2024年度は増収を見込む。
市場全体が毎年漸減傾向という大逆境の中、一人気を吐く。1970年発売の超ロングセラーに何が起きたのか。

ロングセラーの下落傾向に歯止めをかけ、反転を図るためには何が必要か。変えてはいけない部分と、変えなければならない部分があるという。「変えてはいけない部分は、品質へのこだわりだ。」(食品事業本部 池田氏)

その「変わらないほんだし」を伝えるためのコミュニケーション策が、23年9月からのテレビCMだ。
ほんだしとみそ汁のなじみの良さをアピールすると同時に、職人がかつお節をいぶして煙が立ち込める工場の映像が流された。
その映像が「ほんだし独自の製法でいぶしたこだわりのかつお節を使っているから、かつお節の香りとうまみがそのままギュッと詰まっている」というナレーションの裏付けとなり、説得力も増した。
さらに若い世代に影響力のある料理系インフルエンサーをかつお節の工場に招き、その様子まで発信してもらう異例のPR策を展開した。

工場や職人にフォーカスしたのには理由がある。
新規顧客となり得る若い世代へのデプスインタビュー調査で、思いもよらぬ事実が判明したからだ。
「長年、ほんだしは3種のかつお節を使ってこだわっていることを広告でもパッケージでも繰り返し訴求してきた。でも若い生活者にとっては、どこの商品も顆粒で一緒に見えるという意見だった」。
さらにショックを受けたのが、そもそも、ほんだしがどんな原料で作られているかも知られていなかったことだ。
「かつお節が入っている」と話すと一様に驚きの表情を見せた。専用工場で職人がカツオを丁寧にいぶして作っていると伝えると、「人が作っているなら安心して使える」と好意的な反応が返ってきた。

「今の若い世代にとって、ほんだしの原料がかつお節であり、そのかつお節を人が作っているのは初めて知る斬新なこと。そこを実直に伝えることが、若い層の心をつかむきっかけになるのではないか」と同社では糸口を見いだしたという。


—記事抜粋はここまで— 

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■ここからは、この事例について「市場調査をしたとしたら・・・」という
  過去にさかのぼった私の妄想の世界です。

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■今回の味の素の事例のように、「メーカーの開発担当者と消費者のあいだの認識の乖離」「中高年と若年層の認識の乖離」はどこの会社でも常に発生しています。


今回利用されていたデプスインタビュー調査は、ひとりの調査対象者に、詳しく掘り下げたインタビューを実施する調査で、調査人数に決まりはなく、調査目的に応じて5名程度から多ければ100名超の人に実施するもので、調査対象者の意識や行動を明確化できる調査手法です。


ただ、デプスインタビュー調査を実施するためにはやみくもに話を聞くのではなく、調査対象者に対して想像力を働かせ、仮説を立てて何を聞くかを設計することが重要です。

■インタビュー質問例■

今回、結果として若年層の顆粒だしに対する認識が、メーカー側の想定とは乖離していたことがわかったわけですが、調査前にはそれはわかっていない状態ですので、まず20代~70代くらいまでの年代別アンケート調査を事前に実施し、若年層の顆粒だしに関する認識がメーカー側とは乖離していることの大枠を把握してから、デプスインタビュー調査を実施し、より詳しく掘り下げていくという手法が適しています。

■その際のインタビュー調査の質問項目としては以下のような内容が考えられます。

① 食生活・だし利用(10分)
Q1 自炊状況
「普段どれくらい自炊をしていますか?」
⇒深掘り
週に何回くらいですか?
どんな料理をよく作りますか?

Q2 だしの使用
「料理をするとき、だしは使いますか?」
⇒深掘り
どんな種類を使いますか?(顆粒・液体・パックなど)
使わない場合はなぜですか?

Q3 商品選択理由
「そのだしを選んでいる理由は何ですか?」
⇒深掘り
味・価格・手軽さのどれが重要ですか?
② 顆粒だしのイメージ(10分)

Q4 イメージ
「顆粒だしと聞いて、どんなイメージがありますか?」
⇒深掘り
良いイメージ/悪いイメージ
他のだしとの違いは?

Q5 使用・非使用理由
「顆粒だしを使う/使わない理由は何ですか?」
⇒深掘り
どんな場面なら使いますか?
③ 製造方法の認知(Before)(10分)

Q6 認知
「顆粒だしはどのように作られていると思いますか?」
⇒深掘り
原料は何だと思いますか?
手作業だと思いますか?工業製品だと思いますか?
⇒重要
※ここでは説明しない
④ 情報提示(刺激)(5分)
「実は、ある顆粒だしは
・3種類のかつお節を使用し
・専用工場で
・職人が丁寧に燻して作っています」
※可能なら写真・動画提示
⑤ 情報接触後の評価(After)(10分)

Q7 印象変化
「今の話を聞いて、顆粒だしの印象は変わりましたか?」
⇒深掘り
どの点が印象に残りましたか?

Q8 価値評価
「このような製法にどれくらい価値を感じますか?」
⇒深掘り
なぜそう感じますか?

Q9 品質認知
「品質が高いと感じますか?」
⇒深掘り
どの点でそう思いましたか?
⑥ 購買意欲(10分)

Q10 購入意向
「このような顆粒だしを使ってみたいと思いますか?」
⇒深掘り
どんな場面なら使いたいですか?
逆に使わないとしたらなぜですか?

Q11 価格許容
「一般的な顆粒だしより少し高くても購入しますか?」
⇒深掘り
どのくらいまでなら許容できますか?

Q12 購入障壁
「購入をためらう理由があるとしたら何ですか?」
⇒狙い
⇒最後まで買わない理由を取る
⑦ コミュニケーション(5分)

Q13 訴求方法
「この商品の魅力は、どのように伝えると分かりやすいと思いますか?」
⇒深掘り
パッケージ
SNS
動画

Q14 メッセージ評価
「“職人が作る顆粒だし”という表現についてどう思いますか?」
⇒深掘り
魅力的か/ピンとこないか

以上のようなインタビューフローが考えられます。

当社ではクライアント様が「自社でインタビュー調査が実施できるように講習するサービス」をご用意しております。
その理由は、これまで多くのインタビュー調査を受託してきたなかで、「企業様自身が自社でリサーチを実施できるノウハウを蓄積していくほうが、もっと機動的で手軽にリサーチを実施できて、長い目で見ればより役立つのではないか。」と考えているためです。

自社での実施をご検討の場合は、いちど以下のページをご覧ください。当社マーケターが伴走してインタビュー調査に同席もいたします。

■インタビュー調査 調査設計・インタビューフロー作成講習サービス 
https://m-innovation.jp/service/interview-survey-design-and-interview-flow-creation-course/

サービス内容につきましては、以下に詳しくご説明しておりますのでいちど御覧ください。

《※2006年1月から【まぐまぐ!】で発行しているメールマガジン 【女性視点(?)なマーケティング発想のヒント】 からの転載です。》

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